2024/10/02 21:04

はじめに

近年、スーパーフードとして注目を集めているモリンガ。その人気の高まりを象徴するように、沖縄県の古宇利島に専門カフェ「モリンガの木」がオープンし、早くも半年が経過しました。さらに、大分市を中心とした地域でも、モリンガの普及に向けた積極的な取り組みが行われています。今回は、これらの事例を通じて、モリンガ市場の盛り上がりと、地域特性を活かした普及活動について深く考察してみましょう。

モリンガ専門店の登場:市場の成長を示す兆し

古宇利島の「モリンガの木」

「モリンガの木」のオープンは、モリンガ市場が着実に成長していることを示す重要な指標といえます。単なる健康食品としてだけでなく、カフェという形で日常的に楽しめる形態で提供されるようになったことは、モリンガの認知度と需要の高まりを如実に表しています。

特筆すべきは、このカフェが単にモリンガを提供するだけでなく、オーガニックにこだわり、添加物を使用しない料理を提供していることです。これは、健康志向の高まりとモリンガの特性が合致していることを示しており、今後のモリンガ市場のさらなる拡大を予感させます。

大分市の取り組み:地域を挙げての普及活動

一方、大分市では、モリンガの普及に向けた独自の取り組みが行われています。地域の飲食店20店舗が参加する料理フェアの開催は、モリンガの認知度向上と消費拡大を目指す画期的な試みといえるでしょう。

このフェアでは、パン、ケーキ、イタリア料理店、居酒屋など、多様なジャンルの飲食店が参加し、モリンガを使用したオリジナル料理を提供しています。ギョーザやコロッケにモリンガを混ぜたり、そばに練り込んだりするなど、創意工夫を凝らした料理は、消費者にモリンガの多様な活用法を示すとともに、その魅力を直接体験する機会を提供しています。

古宇利島:モリンガの新たな聖地

古宇利島は、沖縄本島の北部に位置する小さな島です。その基本情報を押さえておきましょう:

  • 面積:約2.84平方キロメートル
  • 人口:約200人
  • 特徴:美しいビーチと透明度の高い海、古宇利大橋で本島と結ばれている
  • 観光:ハートロック、ティーヌ浜などの名所がある

この島が選ばれた理由として、「モリンガの木」の店主、星康子さんは「気候がモリンガ栽培に適している」と述べています。実は、古宇利島の気候は亜熱帯海洋性気候に属し、年間を通じて温暖で、モリンガの生育に適した環境なのです。

古宇利島とモリンガの新たな関係

古宇利島とモリンガの関係は、このカフェのオープンを機に新たな段階に入ったと言えるでしょう。

  1. 栽培適地としての価値:前述の通り、古宇利島の気候はモリンガ栽培に適しています。これは、今後島内でのモリンガ栽培が拡大する可能性を示唆しています。
  2. 観光資源としての可能性:「モリンガの木」は、すでに観光客や外国人、県内中南部からの来店があるそうです。モリンガを目的とした新たな観光の流れが生まれる可能性があります。
  3. 地域活性化への貢献:新たな特産品としてモリンガが注目されることで、古宇利島の経済活性化にもつながる可能性があります。
  4. 健康的なライフスタイルの発信地:オーガニックやビーガン向けのメニューを提供することで、古宇利島が健康的なライフスタイルの発信地となる可能性も秘めています。

大分市:地域ぐるみでのモリンガ普及活動

大分市を中心とした地域では、モリンガの普及に向けた独自の取り組みが行われています。この活動の特徴と意義について詳しく見ていきましょう。

料理フェアの開催

大分市を中心に20店舗の飲食店が参加する料理フェアは、モリンガの認知度向上と消費拡大を目指す画期的な試みです。このフェアの特徴は以下の通りです:

  1. 多様な飲食店の参加:パン、ケーキ、イタリア料理店、居酒屋など、幅広いジャンルの飲食店が参加しています。
  2. 創意工夫を凝らした料理:ギョーザやコロッケにモリンガを混ぜたり、そばに練り込んだりするなど、モリンガの多様な活用法を示しています。
  3. 地域の生産者との連携:豊後大野市で1500本のモリンガを栽培する田島靖久さんらが、生葉や粉末を提供しています。
  4. 広域での展開:大分、別府、中津、豊後大野、佐伯各市の店舗が参加しており、県全体でのモリンガ普及を目指しています。

普及活動の中心人物

この活動の中心となっているのは、実行委員長の上久保陽子さん(69歳)です。管理栄養士でもある上久保さんは、環境や食糧問題に関心を持ち、2017年に自宅の庭でモリンガの栽培を始めました。2023年には「大分モリンガの会」を結成し、料理レシピや効能を紹介する本を仲間と出版するなど、精力的に活動しています。

PRイベントの開催

料理フェアに加えて、大分市中央町の大分オーパでPRイベントも開催されます。このイベントでは:

  • モリンガの栄養成分や育て方の紹介
  • モリンガ茶の試飲
  • モリンガを使用したコロッケやまんじゅうの販売
  • 生葉の無料配布

など、多角的にモリンガの魅力を伝える取り組みが行われます。

環境への貢献

モリンガは、その成長の速さと高い二酸化炭素吸収率から、地球温暖化対策としても注目されています。上久保さんは「食材として気軽に入手できるよう市民1人1本を育てるのを目標に普及に取り組みたい」と意気込みを語っています。

モリンガの特性と可能性

ここで、改めてモリンガの特性と可能性について整理してみましょう。

  1. 栄養価の高さ:モリンガは、食物繊維やタンパク質、ビタミン、ポリフェノール、アミノ酸など90種以上の栄養素をバランスよく含んでいます。
  2. 栽培のしやすさ:虫が寄りつきにくく、農薬を使わずに栽培できるため、有機栽培に適しています。
  3. 多様な活用法:粉末や茶として摂取できるだけでなく、様々な料理に取り入れることができます。
  4. 健康増進効果:ほろ苦い味わいですが、少量で栄養摂取ができるため、食欲不振時や高齢者のフレイル(虚弱)予防にも適しています。
  5. 環境への貢献:成長が早く、二酸化炭素の吸収率が高いため、地球温暖化対策としても期待されています。

まとめ:日本におけるモリンガの未来

古宇利島の「モリンガの木」のオープンと、大分市を中心とした地域ぐるみの普及活動は、日本におけるモリンガ市場の成長と可能性を如実に示しています。これらの取り組みは、単にモリンガを広めるだけでなく、以下のような多面的な効果をもたらす可能性があります:

  1. 地域活性化:新たな特産品としてのモリンガの普及は、地域経済の活性化につながります。
  2. 健康増進:栄養価の高いモリンガの普及は、地域住民の健康増進に寄与します。
  3. 環境保護:モリンガの栽培拡大は、地球温暖化対策の一助となる可能性があります。
  4. 食育と環境教育:モリンガを通じて、食と環境の関係性について学ぶ機会を提供できます。
  5. 観光振興:モリンガを目的とした新たな観光の流れが生まれる可能性があります。

今後、モリンガがどのように日本の食文化や環境保護活動に組み込まれていくのか、そして全国的なモリンガ市場にどのような影響を与えていくのか、非常に興味深いところです。

モリンガ愛好家の皆さん、次の旅行では、ぜひ古宇利島の「モリンガの木」や大分市の料理フェア参加店を訪れてみてはいかがでしょうか?新鮮なモリンガの魅力を再発見できるかもしれません。また、自宅でモリンガを栽培してみるのも面白いかもしれません。モリンガを通じて、健康的で持続可能なライフスタイルを実践する、そんな新しい潮流が日本中に広がることを期待しています。